今年の最後に

こんにちは。すごく久しぶりですが、今年最後のエントリーです。

今年の年越しは、気の置けない友人夫妻の自宅で、妻と猫ともに過ごしています。昨年の今頃、独身最後の贅沢と称して、友人とニューヨークのタイムズスクエアで年越ししたのが幻のようです。

あれから一年、早かった。3月には入籍の直前に震災が起こって、自分の人生に求める幸福と世の中に生じている不幸との狭間で、力と言葉を失った。ぎりぎりまで動けず、結局あわただしく書類だけ提出して結婚生活を開始。そのあと、震災の影響で遅れた著作出版のための作業に追われ、新婚というにはあまりにも殺伐とした生活が続いた。6月、なんとかぎりぎり、『リアリティと他者性の人類学』を出版。

大きな喜びは、むかごが来てくれたこと。誰かと一緒に暮らし始めたら猫を飼いたいなとずっと思っていたけれど、それが実現したら想い描いていたよりもはるかに素晴らしい喜びを与えてくれた。それからしばらく、少し早く仕事を終えて、妻と買い物をして帰って料理を作って、むかごも一緒にテーブルを囲むのは、いまだに受け入れがたい奇跡的な幸福だと思う。それからしばらく、結婚式の準備を進める日々が続いた。

夏はいつも通り、数回の海外渡航があったけれど、そこでも自分に帰るべき、帰ることができるホームがあることの不思議さばかりが印象に残っている。帰国してから、すごく追い込んで、そして本当に多くの人たちの助けを借りて、なんとか10月9日に結婚式を挙げた。それもまだ信じられない。

いつも通り、襲いくるあれこれの出来事につねに一歩遅れながら、対処するだけの時間を365日過ごしただけなんだけれど、振り返ると自分は「配偶者」になって、「著者」になって、「飼い主」になって、いくつかはっきりとしたステイタスの変更が今年を跡付けている。そして、それが、自分の小さな世界のすぐ外にある世界の大きな変化と相まって、「変わったんだ」という気持ちを強めている。そう、今年はすごく、いろいろなことが変わった。その変化が「きっかけ」なのか「あらわれ」なのか、まだよくわからないけれど。

今年は自分の小さな世界の変化に対応することと、外にある世界の変化から身を守ることで精いっぱいだった気がする。内側でディフェンスを固めるだけでなく、外側に攻めに出るバランスを確保したい。半径10メートルの世界から一歩踏み出してみなよ、って誰かや誰かにけしかけていたのは誰だっけ。

最後はやっぱり内向きのぼやきか呟きになってしまったけれど、今年お世話になったすべての皆さん、ありがとうございました。それぞれ幸福に2012年を迎えられることを祈ります。そして、それら幸せの総和が世界全体の幸福につながりますように。よいお年を。

2011年12月31日

東賢太朗

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明日、合評会

明日、拙著の合評会が開催されます。詳細は、以下のポスターをご覧ください。

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結婚式終了

一昨日、10月9日、多くの皆さんに見守られながら、名駅ミッドランドタワー42階、エノテーカ・ピンキオーレにて、無事に人前結婚式と披露宴を終えることができました。

出席してくれた方々、祝電を送ってくれた方々、様々お手伝いしてくれた方々、そしてその他これまで僕たちを支え育んでくれた全ての方々にこの場を借りてお礼を伝えます。ありがとうございました。

これからは、きっとずっと続いていく二人(と一匹とその他未来のメンバー)の日常生活をいかに幸福で実り豊かなものにするか、そのことに力を注ぎたいと思います。そのためにも、結婚式での誓いや喜びを忘れないように。

ありがとうございました。

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結婚式前夜

「のび太の結婚前夜」というドラえもんの映画があった。成長したのび太がしずかちゃんと結婚する前日に、のびたとドラえもんがタイムマシンで訪れ様子をみるという話だったと思う。昔、いつだったか、レンタルして観た記憶がある。

明日、僕ものび太ばりに結婚式を挙げる。「結婚する」のでないのは、すでに半年以上前に入籍を終え、法的には既婚者となっているからだ。そして、パートナーとの共同生活も、それ以来継続している。

それでも、いくつかの書類と印鑑とサインを揃え、役所に提出してしまえば完了する入籍は、あくまでステイタスの変更であって、通過儀礼としての結婚式と披露宴を経て自分の属する社会集団の承認を得ることとはやや実感が異なる。そう、フィリピンで諸事情からカトリックの教会婚を挙げることができずCivil Marriageと呼ばれる行政婚を上げた人々が、「Civil lang(籍だけだから)」と俯きがちにいうような。

いや、式も披露宴も、別にしなくても愛し合いともに暮らし生きていくという結婚のあり方に何も違いがあるわけではない。ただ、この数ヶ月、明日のために通過してきた様々な準備や手続きを思うとき、籍を入れたときと同じかそれ以上に不思議な気分になるだけ。ああ、僕は結婚するんだな、と。

ここにいたるまで、多くの人たちから「結婚式は、女の人が主役だから。男はおまけだから」と何回も聞いた。もちろん、がんばってタキシードを着る僕よりも、彼女の白く美しいウェディングドレス姿が輝くのは間違いない。でも僕はそれでもいいたい。結婚式は、祝いに来てくれる人たちが、これまで支えてくれたこと、育んでくれたことへの感謝なんだ、だから主役はゲストの方々なんだって。

その気持ちを強く持ちながら、わりとしんどい結婚式のためのいくつかのステップを越えてきた。もちろん、その過程でやはり家族や友人たちのサポートを受けることになった。いや、むしろ、一つ一つのステップはすべてそれらサポートによって乗り越えられたものかもしれない。まるで僕の、僕たちの幸運すぎる人生を、圧縮して照らし出したかのように。人と人以外の何かという他者の力によって導かれ、たどり着いたこの場所。

明日、会場でお会いする人たち、会場でお会いできない人たち、すべてこれまで僕と、僕たちを支え育んでくれた人たちへの感謝をこめて、意識を失うくらい全力で結婚しようと思います。ありがとう。この先の道のりはまた果てしなく、多分皆さんのお力を求めてしまうだろうけれど、少なくとも2人でできることは2人で行うことができるようなパートナーに、なりたいと思います。

明日の天気はいいらしい。いい式になりますように。いい式にしようか。きっとなるだろう。

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環境としての中日新聞

名古屋とその近郊で育った僕の家は、当たり前のように中日新聞をとっていて、そして気がつくと当たり前のようにドラゴンズファンになっていた。大学受験のころ、入試問題によく出題されるというので数ヶ月だけ朝日新聞に変えたのだが、僕が大学に入学して東京に行き、最初の夏休みに帰省した時にはすでに再び中日新聞に戻っていた。

多分、このあたりの地域に住んでいる人の多くは同じような感じではないだろうか。環境としての中日新聞。

先日の記事掲載は、だから思った以上に色々な人が読んでいて、家族や親戚はもちろん、友人や同僚など、「載っていたね」とか「読んだよ」と声をかけてくれる。ありがたいことだと思う。

それにしても先週末、ある地域の集まりに参加したとき、見知らぬ年配の女性から「結婚式はいつなの?」と話しかけられたのには驚いた。それはかなりの偶然の重なりだった。先月僕が、同じ地域で開催された戦争経験者の講演会を聞きに行ったとき、受付で名前と住所と所属の記帳を求められて、僕はとくに深く考えずにありのままを記入した。そうしたら、実はその女性は講演会の主催者側の方で、講演会後に参加者の名簿を何気なく確認していたときに、自分の家のものすごく近くの住所の僕のところで目がとまったらしい。「名大、東」くらいのキーワードが記憶の片隅に残っているうちに、中日新聞を読んでいたら僕の記事と写真が載っていて、「あ、講演会に来ていた人だ」と思った。記事には、僕のあまり大学教員らしくない顔写真と「もうすぐ結婚式を挙げる」という記載があった。そして、同じ地域の集まりで、記事の写真と同じ僕の顔を見かけて、「結婚式はいつなの?」と話しかけたというわけだ。

僕が講演会を聞きにいっていて、彼女がたまたま近所に住んでいて、彼女がたまたま僕についての新聞記事を読んでいて、そして僕と彼女が同じ地域の集まりでたまたま顔を合わせたということ。そういう偶然の連鎖は、人生の中で意外とよく起こりうることなんだけれども、今回はその結節点に中日新聞があったことが面白い。

環境としての中日新聞。この地域で育ち、今再び暮らしている中で当たり前のように受け止めていたけれど、今回はその影響力を、さらに深く感じさせられた。

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合評会続報

今日から後期授業が始まった。いつものことだけど、初回はうまく言葉が出てこない。授業開始までに、うまく切り替えてウォーミングアップできているのが理想なんだけれども。

先日お知らせした拙著の合評会の続報です(まるはち人類学研究会へのリンク)。

ディスカッサントが2名、決定しました。2名とも、昔から僕の研究をよく知り、コメントと刺激を与え続けてくれている方々です。今回はどのような厳しい/暖かいコメントがいただけるのか、不安でもあり楽しみでもあります。

お時間のある方はぜひ。

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第8回研究会

合評会 東賢太朗著『リアリティと他者性の人類学―現代フィリピン地方都市における呪術のフィールドから』

次回研究会のお知らせです。

著者の東賢太朗氏をお招きして、合評会をおこないます。

東賢太朗
2011 『リアリティと他者性の人類学―現代フィリピン地方都市における呪術のフィールドから』、三元社。

10月22日(土) 15時-18時
会場:名古屋大学文学部棟大会議室(110号室)

http://www.nagoya-u.ac.jp/global-info/access-map/higashiyama/

15:00-15:10 趣旨説明
15:10-16:00 著者による説明
16:10-16:25 ディスカッサント1 神谷良法(名古屋大学大学院文学研究科博士研究員)
16:25-16:40 ディスカッサント2 片岡樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科准教授)
16:55-18:00 質疑応答


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夏の終わりと新聞記事

一昨日帰国し、昨日はプライベートな用事を片づけ、本日より入試業務その他。

あわただしく後期を迎えようとしているが、ギリギリまで可能な限り夏の海外渡航を続けたことを後悔はしていない。シンガポール、ソウル、マニラ、ボラカイ、上海、バンコク、チェンマイ、チェンライと、この夏は東アジアから東南アジアをよく歩き回った。新規訪問地も再訪地も刺激に満ちた発見や気づきが多く、これまでフィールドで感じたり考えてきたことが、さらに加速していることを確認することができた。次や次の次のステップへ、踏み出す希望と欲望の高まりを感じている。

帰国した日本はすでに涼しい。渡航中に掲載された、拙著の取材記事を確認する。中日新聞ということで読者が限定されているのがやや残念だけれど、記者の方がすばらしくわかりやすい紹介文を作ってくれた。以下、スキャンした原文を掲載しておきます。

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なぜか左隣は同じ研究科の町田教授の連載(2011年9月20日、火曜日、中日新聞朝刊記事)。

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拙著、合評会開催のお知らせ

ソウルとフィリピン渡航から帰国した翌日、上海に旅立ちその後バンコクに到着した。初の大陸中国を面白く歩き語りながら、やはりどうも東アジアより東南アジアの方が心と体に適しているのではないかと、今さらながら気づき始めた。でも、それをどう言語化していいのかわからないから、とりあえず帰国までは後回しで。

『リアリティと他者性の人類学』、中日新聞掲載が目前です。20日の朝刊記事、どんな感じで読まれるのでしょうか。やや緊張気味です。

続いて、拙著の合評会開催のお知らせです。名古屋近辺の大学院生やODを中心に活動する「まるはち人類学研究会」が、拙著を取り上げ合評会の企画を立ててくれました。ありがたくも恐ろしい話です。できるだけ静かに、密かに終えようとも考えたのですが、やはり読んでくれた方々から少しでも厳しい批判をいただかねばと思い、ここに告知します。

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まるはち人類学研究会
第8回研究会

合評会 東賢太朗著『リアリティと他者性の人類学―現代フィリピン地方都市における呪術のフィールドから』 (三元社、2011年)

著者の東賢太朗氏をお招きして、合評会をおこないます。

10月22日(土) 15時-18時
会場:名古屋大学文学部棟
15:00-15:10 趣旨説明
15:10-15:50 著者による説明
16:00-16:25 ディスカッサント1
16:25-16:50 ディスカッサント2
17:00-18:00 質疑応答
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詳しくはここのウェブサイトをご覧ください。詳細な会場や現在交渉中のディスカッサントの方々など、決定したらまた続報をここにアップします。

Amazonやその他書店など、まだまだ在庫はあるようです。もしご都合が合えば、当日までに読んでいただいて、会場に直接お叱りにきてください。

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新聞の紹介記事

フィリピン・ボラカイ島より、ずいぶん久しぶりの更新。

この夏はシンガポールやソウルでフィリピン人移民労働者についての新たな調査を開始したり、ボラカイ島で観光についてなかなかいい発見があったりと、フィールド中の刺激はやはり強く、そのあたりのことをブログに書きたいと思いながら、宿題で持ってきた原稿に追われていたりする。

今日はとりあえず、告知だけ。拙著、『リアリティと他者性の人類学』刊行後2ヶ月経過したところで、初めてメディアで紹介されることになりました。9月20日の中日新聞朝刊文化面に、拙著の内容を中心にした取材記事が掲載されます。「ひと・仕事」欄ということで、著者の人物紹介なども含めたもの。記者さんから送られてきた原稿を読ませてもらったのだけれど、僕には書けない平明な文章で新聞の一般読者の方にも興味を持ってもらえそうな内容です。東京新聞の方には掲載がないようなので、中日新聞エリア限定ですが、よかったら読んでみて下さい。僕は当日海外渡航中なので、買っておいてもらわないと。

今後、某学会誌での書評掲載が予定されていたり、某研究会で合評会が予定されていたりと、色々厳しく評価されそうだけれど、それもまたありがたいこと。あとは全国新聞の書評とかで取り上げてくれないかな。

今日はこの後、小雨が上がったらボラカイ島の裏表を歩き回る予定。猫とすれ違う度にむかごに会いたくて会いたくて仕方ない。

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書店にて

名古屋駅のジュンク堂。自分の著書が書店で売られている不思議さ。

撮影は妻がこっそりと。さすがに自分で撮影するのはためらわれました。

書店にて

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