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声幽霊

ちょっとこれってスランプ?というぐらい遅々として進まない論文執筆の過程で、フィールドワークで録音してきたインタヴュー記録を聞きなおすことになった。

驚く。というか信じられない。

神父と神について延々と議論する僕。
呪医と精霊について語り合う僕。
医者と、民間医療の効果について話し合う僕。

語彙力や流暢さもさることながら、相づちや驚きの表現など細かいところもすっかりヒリガイノン。
多分これを聞いたら、ネイティヴでなければ僕がヒリガイノン母語者でないとは気づかないだろう。

もちろん、「すげえだろ」という話ではない。

実は、何回も何回も聞いても聞き取れないのだ。
ヒリガイノン能力超低下。
自分の言っていることが理解できない気分を始めて味わった。

そこで僕は(いつものように悪い癖で)自閉的に精度の低い思考へといざなわれていく。

「これは僕ではないのかもしれない」

数ヶ月前の僕の声が今の僕にとって有意味でないということ。
どうやら僕宛に出された手紙のようだが、「配達ミス」だったのかもしれない。
誤配可能性はそこに幽霊がいたことを教えてくれる、

幽霊は、少なくとも数ヶ月前に僕はこうだったかもしれないという可能性を示してくれる。
それは、今の僕を経由して未来の僕へとつながっていく。
だからといって、数日後の僕がフィールドに帰ってやっぱり話せなくてとても落ち込むことに変わりはなくても。

今日の自閉的思考実験を終了します。
誰も怒らないでください。

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