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オクシモロニック

「ユートピア的現実主義」(ギデンズ『近代とはいかなる時代か?』より)
「行動的ペシミスト」―(塩野七生『サイレント・マイノリティ』より)

最近読んだ2つの本で気に入った言葉は、いずれも一見矛盾するような2つの言葉を並べたものだ。そして、2つの矛盾する言葉が1つの場所に居合わせたとき、とても魅力的な意味合いが生まれる。

前者はハイ・モダニティにおける生き方モデル、後者は、「焼跡派」に続く世代の生き方モデルを表したものだが、そういったコンテクストを抜きにして、AなのかBなのかという選択をすり抜けながら前に進むあり方を僕はフィールドでよく目にしてきた。そう。僕たちの日常を包み込むスペースとしてのフィールドでは、何かを切り取ることができないし、できないからこそその曖昧で矛盾に満ちた実践を克明に描く必要がある。

市野沢潤平氏は『ゴーゴーバーの経営人類学』の中で、バーガールたちが客と擬似的恋愛関係にありながら商売をするような「親密性を売る」状況の微妙なバランスを「オクシモロニック・ワーク」として鮮やかに定式化した。そういう曖昧さがゴーゴーバーに特有なものかどうかは氏に一度聞いて見たいと思う。

僕は今のところ、矛盾をはらんだ曖昧で微妙なバランスというものが日常を支える機制であることと同時に、そのようなスタンスを意図的にとることによって保守と革新とか、右と左とか、押し付けられる2者択一の政治的立場をうまくすり抜けながら、党派的ではないより実践的なアクトを可能にするのではないかと考えている。ただ、一見日和見主義にも映るそのような立場が軽やかで調子がいいだけだと思われないためには、日頃の誠実な日常実践の必要性というものがあるわけで、どうやら僕などはその辺りから始めてみなければいけないみたいだ。

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