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対象への愛と欲望

ゼミを担当するということは、つまり卒論指導をするということで、それは僕にとって初めての経験になる。卒論について考え始めた学生たちが、まず最初に立ち止まる場所があるとしたら、それは「何について書くのか」という問題、つまりテーマ決定だろう。

ところが、僕自身はといえば、これまで卒論から博論まで、テーマについて迷ったり、決定したという経験がない。つまり、いつでも必ず目の前に研究されるべき対象が迷う余裕なく待っていて、僕がしたことといえば、ひたすら理論や資料やフィールドワークで対象に接近していったということになる。それが良かったのか悪かったのか、判断には困るところだが。

いつも思うことは、さまざま無節操なアプローチを用いながら、何とかして対象との距離をつめ、理解に努めること、それはまさに愛と欲望のなせる業だということだ。対象に参加し、没入し、耽溺し、所有したくなって独占したくなって、自分を見失うところまでいったあたりから、それまでとは少し違った風景が見えてくる。例えば僕にとって、それはカトリックへの改宗という問題であった(そして、いまだにその問題は解決していない)。

ちょっと驚くくらい幅広い学生たちの興味関心が、そろそろテーマとして立ち上がってくる頃、様々な制約のなかでも、ぜひ一番愛することができ、そして欲望を投影できる対象にこだわってほしいと思う。理屈もデータも後からついてくるものだから。それは人であっても、モノであっても、概念であっても、なんでもいい。そして、そういうことをいうからには、その愛され欲望された対象に僕自身が横恋慕するくらい関わっていく心構えでいるということでもある。だから、もっと勉強しなければいけないのだが。

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