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いつも同じ

ロハス調査がもっとも忙しい火曜日と金曜日の午前中。呪医とカリスマ刷新運動が同時に活動するため、いつもは早起きしてバイクで町中を走り回ってデータを集める。

が、今回のロハス滞在中、唯一の金曜日は朝から激しい雨。バイクでは出かけることもできず、午前中雨がやむのをいらいらしながら待つ。ようやくやんだ頃、"Mapanyaga ta!!"(お昼ごはんができたよ)という呼び声を聞く。お腹いっぱい食べて、完全にやる気をなくして、とりあえず調査助手の家まで行く。彼とおしゃべりしていたら、「州庁で、日本出稼ぎの建築労働者の募集があったらしい」という怪しい噂話が出てきた。

僕と初めて知り合った1999年から、彼はずっとIstanbay(求職中)。調査を手伝ってもらう過程で、こんなに細かな気遣いができて、こんなに誠実な仕事ができる人はめったにいないと僕は知っている。でも、ここ数年彼の状況は変わらない。できればどこか外国に行って働きたいという彼に、僕も非力ながら何とか助けになりたいと色々調べてみたが、とりあえず今のところ道は見つかっていない。

彼も僕も、どうせ単なる噂話に過ぎないか、もし本当でもものすごく条件が厳しかったりするんだろうなと心の中で思いながら、「じゃあ州庁に行ってみようか」という話になる。いつものようにバイクに2人乗りで州庁にむかい、色々尋ねてみるがどうもその募集はすでに終わってしまったらしい。やっぱりね、と落ち込むこともなくまた2人乗りで帰途に着いた。

彼だけでなく、この町では驚くほど何もかもが変化しない。もちろん、人が生まれたり結婚したり移動したり亡くなったり、そういう変化はあるのだが、例えばここ数年で僕に生じた社会的状況の変化のような劇的なものは、ほとんど見かけない。"Kumusta kamo?"(調子はどう?)と僕が尋ねると、いつも少しあきらめ顔で笑いながら"Amo man gihapon"(いつもどおりさ)とつぶやく。そんないつも同じ場所と状況で、僕も仕方なく"Amo man gihapon ako"(僕もいつもどおりだよ)答える。

決してここは、レヴィ=ストロースが「冷たい社会」と呼んだ未開社会ではないのだけれども、諦めなのか穏やかさなのかわからない暖かな空気の中で、結局僕が友人たちと最後に落ち着くのはこの言葉。"Inom ta?"(飲むか?)。

そんなときには、安いラムの回し飲みで、早い時間に酔っ払ってしまおう。

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