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過去から現在、未来へ

大阪伊丹1840発、宮崎行き最終便。離陸後落ち着いた機上で、これを書いている。

先週の木曜日から今日まで、名古屋と大阪への出張(年度末で自腹プラス有給使用なので、正確には「出張」ではないが)。

名古屋では、久しぶりに古巣の研究室で開催されたアフリカ関係の研究会に参加した。人類学と言語学からの発表者3名ともよく知った間柄で、それぞれの研究についても幾度となく発表を聞いている。そんな彼/女たちの大きく進展した現在の問題関心をアップデートしながら、懐かしい雰囲気の中で議論に参加する。研究会後、これまた懐かしいよく使った居酒屋での懇親会にも参加して、大いに飲み語る。

僕の出身研究室からは、今年度新たに2名の博士学位取得者が誕生した。2名とも就職先はすでに確定しており、学位取得と就職の二重の「おめでとう」を伝えることができた。この研究室で博士学位を取得した希望者のアカポス就職率は、これまでのところ100パーセント。昨今の博士就職状況を考えると、まだ10年もたっていない新興の研究室としては、信じられないくらいに喜ばしい状況だと思う。その一方で、1期生や2期生たちがゼロから立ち上げたあの混沌としたコミュニタス的雰囲気は消え去ったという声も聞かれ、僕は少しそれを寂しく感じる。ただ、毎日研究室でひたすら読書や議論に時間を費やしたり、いつもみんなで一緒にBBQしたり酒を飲んだり、あの状況がはたして効率のよい論文執筆や学位取得に結びつくのか、最終的には就職者を生み出すのかと問われれば、やはり沈黙せざるを得ない。組織が自己修正しながら変化や改良を繰り返していくシステム論的視座を改めて認識しながら、過去を懐かしがり、現在を引き受け、未来を望む、それしかないだろう。

そんなことを考えながら、名古屋に行く一番の理由であるなじみの美容室にむかう。その間浮気はたったの3回、もう9年目の美容師さんに髪の毛を全て任せながら、同じ店に通う友人の近況など聞く。彼女に「名古屋に帰ってくる一番の理由が、ここで髪を切ってもらうことなんですよね」と伝えると、しばしの沈黙の後「実は、子供ができたので、しばらく店を閉めることにしたんだよね」と美容師さん。なるべく早く復帰したいと思うけれど、子育ては予測不可能なので。もちろん、とてもおめでたいニュースを喜びながら、そろそろ宮崎で髪を切れる場所を探さねばならないことが少し苦しい。あと1回くらいは切りに戻ってこれるので、それまでは探さなくてもいいだろうか。ここにも、時間と共に変化がある。その後、久しぶりに会った友人たちに少し遅れて誕生日を祝ってもらう席で、もう新婚ではなくなり家庭もすっかり落ち着いた親友と、「家庭がムーミン谷みたいにとても居心地いいから」、「結婚相手に対してとても高望みだから」結婚しない/できない2人の美女の変わらなさに安心したりする。

大阪では、共同研究に関する打ち合わせミーティング。数年前に渋谷でオムライスを食べながら構想したこの共同研究は、研究会と学会を経て、ついにあるプロジェクトのための公的資金を獲得することができた。仲間内の手弁当の研究会から、上の世代や他分野の研究者を招いての公開シンポジウムへ。まだうまくいくかどうかわからないが、メンバーで仕事を分担し、成功につながるように1つ1つ進めていく。この共同研究は、まだしばらく続きそうな予感がする。ミーティング後の懇親会で、この春に就職し結婚した1人のメンバーのために、ささやかなお祝いをする。ちょっとメインストリームからは外れているけれど自分の目指すことを選択したリスクと希望の不可分さの中に、僕たちの公私含めた人生がこれからどう流れていくのか、研究者としてどのように歳を重ねていくのか、不思議な一体感を感じたのは僕だけだったろうか。

そして、そろそろ宮崎にむけて降下を始める機上の僕も、明日から現在の勤務先での3年目を迎える。年齢は相変わらず教員の中で一番下だけれど、少しずつ何をすべきか、何ができるのか、どのようにすればいいのか、周りの人たちのおかげで分かってきた気がする。と同時に、人間との接し方や時間/労力の配分、身心の健康の維持など、この仕事の難しさも身にしみてきて、元気ならあと30年以上は続くだろう研究生活を遠く想い描いたりもする。

前のままではなくて、今が最高ではなくて、明日はいつも不安だ。そんな落ち着かない時間軸の連続線上で、僕ができることは何だろう。この数日間は、そんなことをよく考えた。さあ、明日から新年度が始まる。

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Comments

いつも励みになります!ぼくもあずまさんを見習っていきます!ところで少々お願いがあるんですよ。近いうちに連絡します。

Posted by: masa | April 01, 2008 10:08 AM

>masa

なんでしょう?

お金ならないですよ(笑)。連絡お待ちしています。

Posted by: azuma | April 01, 2008 11:09 AM

「過去を懐かしがり、現在を引き受け、未来を望む」
って表現にハッとしました。
研究室の方々、本当におめでたいですね。けんちゃんはみて(読んで)いるとけんちゃんという人の中にいつも何か可能性を感じるし、それでいつも大変そうな環境までどうにかしてしまう。ワクワクしながら読ませてもらってます。
心身の健康について考えるようになられてなによりです(笑)呼吸法オススメだよ。

Posted by: じんじん | April 01, 2008 11:21 AM

なんだかなんとも言えない・・・心にジーンと響くものがありました。
色んな時間、空間、友人、なじみのものやお店、
そんな中に自分の身をおき、また自分を客観視できるのでしょうね。
新年度がはじまり、お忙しいと思いますが、
体調を崩されることのないように・・・ボチボチ頑張ってくださいね。
フライト中の日記も、なんだか素敵ですね☆

Posted by: Mikarin | April 01, 2008 09:25 PM

>Mikarinさん

そちらも色々おめでたいことや変化があったようですが、いずれにしても春は新たな気持ちになっていいものですね。

飛行機が苦手なので、フライト中は余計に感情的になってしまいます(笑)。

Posted by: azuma | April 02, 2008 01:56 AM

>じんじんさん

お久しぶりです。

呼吸法って?相変わらず、目の付け所がよさそうだね。

「ワクワクする」って、いい表現。「危なっかしい」って言ったら、昔と何も変わっていないよ。

Posted by: azuma | April 02, 2008 04:59 PM

お久しぶりだったね~。そういえば♪
褒めてくれちゃってありがとう。けんちゃんに言われるとなんか本当にそんな気がしますわ。

呼吸法ってのは、肺全体を使って呼吸をし、全身に酸素を送ることです☆血液の酸素量が増えるだけで、細胞が活性化されて新陳代謝が促され全身が元気になり、脳の働きも良くなるよん。
普段は肺の三分の一ぐらいしか使っていないので、一日に数回それをするだけで違ってくるよ。心もすごくリラックスします。

○背筋まっすぐにして椅子に深くこしかける
↓肩を数回上下させて、力を抜きます
↓手は自然に両モモの上におく
↓目を閉じる
↓口を閉じて、鼻から自然に息を吐く
↓吐く息がなくなりかけたら体を前に傾ける→肺に残ってる空気が出ます
↓空気を吐ききったら、また鼻から吸い始める
↓吸いながら体を元通りに起こす
この繰り返し。
時間は特にないけれど10分~30分。自然にまかせて、うまくやろうと意識する必要はありません。やればやるほど効果があります。
これはmeditationでもあるので、精神的に不安や焦りが消えてリラックスとやる気が心に満ちて、はては身の回りに幸運なことも増えるんだそう。
なるべく何も考えないで自分の呼吸だけに意識を向けるのがコツです。←これがなかなかむずい

何が起こるのかワクワクできたり、みえないからちょっとこわかったり。。私も呼吸法しつつ乗り切ろ~(笑)
長くなっちゃったけど、けんちゃんもよかったらお試しあれ~☆

Posted by: じんじん | April 02, 2008 07:29 PM

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