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他者への思考/志向

今週末の宮崎は雨続き。土日は、めずらしく何の予定もなくてせっせと論文を直していた。

すごく久しぶりにカレーを作って、ひたすらそればかり食べながら、大学で一瞬すれ違った同僚と数件のメールと電話以外は、外界との接触を遮断して研究だけしていた。

そういえば、宮崎に来てからこういう時間は圧倒的に少なくなった。大学院やPDの頃は、最低でも週に2日は家にいて本を読んだり論文を書いたりしていた。もちろんそういう状況と必要性があったからこそだが、それにしてもよくあんなに孤独な時間があったと思うし、今はそれを作ろうと思ってもなかなか難しい。

他者との接触が少なかった以前のほうが、他者について深くゆっくりと考える時間があったというのは皮肉だろうか。デリダの「まったき他者」や柄谷の「絶対的他者」について想い描く以前に、最近は具体的かつ実存的な他者との関係や交渉に追われてしまって、そこまで思考が届かない。そんなのは単なる言い訳だとプロダクティブな先達には怒られそうだけれども。

そういえば、論文を書くことも年々難しく感じるようになってきた。1晩や2晩で書き上げていた昔より、少しは深く良質のものを生産できるようになったからだと思いたいが。でも実際のところはどうなのかよく分からない。

今週は、授業が始まったり、職場の歓送迎会があったり、延ばしてもらった締め切りが迫るのを恐れながら、生身の他者との関わりに翻弄されそうな予感。今夜は、もう少しだけ彼岸の他者への接近を試みることにしよう。

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Comments

なんだか難しいことを考えておられるのですね・・・
他者かぁ~~~
私は自分自身についてよく考えたりはするのですが、
他者については、なかなか考えても、よく分からないことばかりです。
ので、つい、聞いてしまいます、自分以外の他者に。
論文を書き上げるって、すっごいことですよね。
確かに遮断したくなる気持ちよく分かります。
私も誰かが側にいたりすると、どうもこうも、考えがまとまらないというか。
書くときは完全に遮断してましたもん。
でも、きっとすごい論文を書いておられるのだろうな~~~
また日記を楽しみに待っていますね。
あ・・・ムリはなさらずに・・・。

Posted by: Mikarin | April 07, 2008 01:17 AM

大学院やPDの頃から外界と遮断した生活をしてた私。論文は常に難産だった私。いまや研究活動それ自体が「他者」になってしまいました(苦笑)

Posted by: ノリタケ | April 07, 2008 08:56 AM

>Mikarinさん

人類学は、どこかに出かけて他者と出会う学問です。それは、必ずしも具体的な人である必要はなく、何か理解困難な事象の場合もあるのですが。僕にとってはそれが呪術だったりします。

論文がんばります。

>ノリタケさん

初コメントありがとうございます。

孤独の生活の不安と心地好さも、論文産出の苦しみ喜びも、研究という得体の知れない営為の恐ろしさと魅力も、きっと同じくらいよく分かると思います。

お互いがんばりましょうね。

Posted by: azuma | April 07, 2008 10:24 AM

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