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水中撮影

すでに帰国した人、現在奮闘中の人、これから出発する人、文字通り世界中でフィールドワークをするゼミ生たちからの報告が届く。まずは無事を祈りつつ、素敵な経験と出会いがありますように。10月の報告が楽しみだ。

僕も負けないように調査しなければと思うのだが、人間相手のフィールドワークは思ったようには進まない。今日はインタヴューのキャンセルが1つ入って、午後一杯は大学からメールで送られてきた書類作成に時間をとられている。メールで連絡がとれるのはいいことだけれど、校務がここまで追いかけてくるのはいかがなものか。まあ、帰国して山積みの書類に追われるよりましかもしれないけれど。

ところで、僕のボラカイ調査ではスキューバー・ダイビングが色々な意味で重要な要素となっている。僕自身が(かなりチキンながら)ダイバーなので、実際に潜って水中での「観光」について参与観察しているのだが、やはり画像記録が必要だということで、今回からデジカメの水中ケースを導入して水中撮影を行っている(本当は前回から導入したかったのだが、僕のデジカメの水中ケースは品薄で入手まで3ヶ月以上もかかってしまった。勤務先の備品シールが貼ってあるので、ダイバーたちに笑われてしまった)。それにしても水中での撮影は陸上と違って、ピントが合わなかったり色が出なかったり、思った以上に難しい。

そもそも日本人のダイバーは、欧米系のダイバーに比べ水中生物への関心が高いといわれている。だから大物だけでなくエビ・カニやウミウシなど小さな生物にも興味を示すし、多くの人が水中撮影をして、後で図鑑で魚の種類を確かめたりしている。日本人ガイドも水中で、できる限り数多く珍しい生物を見せようとするし、ときにはスレートと呼ばれるボードに文字を書いて解説もする。

日本人ダイバーと韓国や中国、欧米系ダイバーとの振る舞いの差異や、外来の日本人ガイドとローカルなフィリピン人ガイドとの関係など、他のどの観光とも同じく、ダイビングによる水中観光は異文化のコンタクト/コンフリクトが発生するすぐれて異種混交な場となっている。僕の水中撮影は、他のダイバーと同じく水中生物撮影や記念撮影のためであると同時に、そんな興味深いアリーナを撮影するための手段となっている。例えば水中生物を撮影するダイバーを撮影したり、スレートで生物の名前を知らせるガイドを撮影したり。陸上でもいつもそうなんだけれど、一体こいつは何を撮影しているんだという不審のまなざしを注がれながら、僕は水中撮影の腕を少しずつ磨いている。ややマニアックな話だけれど、まずは完璧な中性浮力を身につけて、完全に静止した状態での撮影を習得したい。

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ダイバーの水中撮影

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魚の種類を書いて示すガイド

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もちろん魚も撮影します

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魚群に遭遇

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水中から見た太陽

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Comments

すみません、ちょっと気になったのですが、これらのレクリエーション(少なくとも私にはそうとしか見えない)の代金は自費ですか?それとも調査という名目の下に公費(あなたの大学)で賄われているのでしょうか?
仮に自費だったとしても飛行機代は公費ですよね?調査期間中の滞在費も公費ですよね?民間の駐在員が滞在先や出張先でレジャーを楽しむのはなんかまあしょうがないとしてたしかあなたは公務員ですよね?税金を使ってるんですよね?なんか、微妙な心境なんですが。。たとえどんな学術的テーマや研究目的でそれらを肯定しようとしてもです。。。少なくとも公立大学で認めるべきテーマではないように思える。。。あ、すべて自費でしたらごめんなさい。
なんで、こんなにこだわるかというとあなたが以前自分を弱者の側の存在という風に言っていたからです。。あなたは存分によりによって公立の教育機関を利用してそこでの研究という名目で先進国の知的エリート階級として南国ライフを満喫しているようにしか見えないのはなぜ?私の嫉妬?う~ん。。。。

Posted by: ななしのごんべ | August 29, 2008 01:24 AM

それはあなたが決めることではないですよ。大変厳しい世界だって私は少しだけ知ってるから。そんな甘いものではないですよ。きっと。彼らは、それを文章化するんだから。人類学ですよ。人類の学び。
嫉妬するくらいだったらあなたもやってみればいいじゃないですか?
どれだけ文章化が大変孤独な作業か。
ね。

Posted by: | August 31, 2008 11:48 PM

人文および一部の社会科学系の研究の多くは見方によっては遊びに見えますからね…。「そんなのが研究になるんですねえ」と"社会人"や理工系の研究者に冷ややかな視線を浴びたことがない人文社会系研究者は少なそうな気がします。

そういう見方にどうこたえるかというと、ひとつにはわかりやすく「役に立つ」研究をすることだと思いますけど、もうひとつは、普通では見過ごされてしまうような、他のやり方では見えてこないような問題を見つけ出し、社会を見直すような視点を提示すること、ではないでしょうか。

一見すると遊びに見えるようなことからきわめて重要な発見や問題提起がなされるかもしれない、ということで私はブログの一読者としてazumaさんに期待しています。頑張ってくださいね~。

(ちなみに出張費は、あらかじめこういう研究をする、と申請して審査を経てもらう「科研費」で、自由に使える大学のお金ではないんじゃないかと思います)

Posted by: / | September 01, 2008 04:26 AM

2番目の方、
あまり感情的になる(あるいはなってもらう)つもりはありませんが、なんか反論の焦点がずれている気がします。

「私がきめることではないですよ。」もちろん私が決めることではないですよ。でもあなたがどなかた知りませんが、もしあなたが同じような研究をされているとしてもあなたにそういわれてしまう筋合いもありません。一読者として素直に感想を述べているのですから。
仮に人類学というものが世の中の多様性をどうにかこうにかいろいろな視点から研究するのであるならば、私のような見方をするひともいるということです。

私は彼の仕事のうちの一つである文章化がいかに辛い作業であるかはとくに話しの焦点にしたつもりはないです。

人類学がいかに凄くて大変なもののようなことをおっしゃっているようですがどんな仕事も厳しいし、辛いですよ。反論の仕方としてはちょっと的がはすれているような。。凄いならなおの事、誤解を受けにくいように努めるべきでは?

私は、公立の教育機関がこのような(すくなくともアズマさんのブログでたまに垣間見るような遊びの要素が多分に盛り込まれている研究を認めていることに多少の驚きを隠せないでいるだけです。そしてなによりもそれに公的なお金がもし注がれているならばです。人類学というものがどういうものか十分に理解していないだけなのも知れませんが。。。


「あなたもやってみればいい」これも少し稚拙な反論に聞こえます。

嫉妬に関して言えばまあこれはちょっと厳しい言い方をアズマさんにしたように思えたので自虐的な少し羨望の意味も込めて書いたのです。憎悪を込めて書いたわけではありません。

3番目の方、

多分私の指摘をかなり理解していただいたうえでのコメントだと思います。上手く解釈してお答え頂いたように思えます。その重要性が非常に理解を得にくい、わかりにくい学問だというのはあずまさんのブログからも十分察しているつもりですがやはりどうしても公的な機関からの支出に気が行ってしまうのは小市民的発想なのですかね~。

Posted by: ななしのごんべ | September 01, 2008 05:40 PM

ななしのごんべさん
はい。単に、あなたの嫉妬だと思います。
大学の教員は一研究者でもあるので、大学が公立であろうと
私立であろうと、研究テーマは一個人に委ねられると思います。

そんなに税金が気になるのならば税務署にでも相談したらどうでしょう。

ななしのごんべさんが、たとえ憎悪を込めていないとしても
コメントは見る人の数だけ解釈が得られます。
私には否定的な意見に思え、とても不快な気持ちになりました。
せっかくコメントを許可しているブログなので、
意見や、答えにくい質問、どうしてもいいたいこと
などは、直接本人にメールすればよいと思います。

このブログを単なる楽しみにしている人は、
私のように不快な感情を抱く人が少なくないはずです。
(1番目の方もきっとそのような感情を抱いたから
コメントしたのです。)

ネット上のレスし合いほど醜いものはありません。
乱文失礼します。

Posted by: keita | September 02, 2008 03:07 PM

しばらくネット環境が悪かったため、コメントへのリプライが遅れました。

>ななしのごんべさん

まず事実確認からですが、僕の勤務先は独立法人化しており、僕はいわゆる「公務員」ではありません。また今回の調査費用はある財団の助成金から支出されたもので、「大学からの公費」ではありません。さらに、海外であっても出張中には勤務時間と勤務時間外があり、当然のことながら勤務時間外の「レクリエーション」への支払いは自費でまかなわれています。そして、支出された旅費・交通費は勤務内の活動を可能にするためのものです。

今回の研究対象は、これまでにも観光人類学や環境社会学など各領域で取り扱われてきたものであり、そのような学問的背景をふまえて僕なりにプランを立てて調査を進めています。それがレクリエーションではなく研究であるか否か、このような私的なブログに「ななし」でなされるコメントへのリプライで明らかにするのはほぼ困難ではないでしょうか。

「勤務内」のフィールドワークの内容をすべてブログ上でご紹介できればいいのですが、その余裕はありませんし、またこのブログはそのためのものではありません。可能であれば今後の僕の公式な研究成果をご覧いただいて、その上でご批判等いただければ、より建設的なやり取りになると思います。ありがとうございました。

>2番目のコメントの方

文化人類学(者)への理解と共感、そしてサポートありがとうございます。文章化はたしかに困難ですが、研究に対する成果が強く求められる現状、できる限り文章にして公開に努めていきたいと考えています。

>3番目のコメントの方

人文社会科学系の方でしょうか。たしかに、遊びに見えてしまってはいけないなと少し反省しています。でも僕は、降りたり逃げたりする人たちのライフの中には、この絶望的にきつい社会に対するオルタナティブな身ぶりが隠されていると、ほぼ確信しています。あとはいかに調べ描くか。理解と応援、ありがとうございました。ご期待に沿えるようにがんばります。


Posted by: azuma | September 02, 2008 03:40 PM

>keitaさん

レスがすれ違いになったようです。このブログを読んでいただいているとのこと、ありがとうございます。僕自身も楽しんで書いています(笑)。

コメントを求めている理由の一つに、僕の気づかなかった方面からの批判やアドバイスを受けられるということがあります。今回に限らず、ああ誤解されてしまったな、とかメッセージがうまく伝わっていないな、と反省することも多く、僕自身にとっていい学びの機会にもなっています。

いずれにしても、(本当に少しだけですが)社会的立場を背負っている以上、できる限り不快になる人が少ない内容にしたいと願います。もちろん、自分の信念や希望を諦めない限りにおいてですが。

Posted by: azuma | September 02, 2008 03:52 PM

3番目にコメントしました。一応、人類学者です(笑)。あえて先のコメントでは書かなかったのですけど。

このコメントも無くていいものですけど、一言だけ。

人類学には、ご存じのとおり、自己言及的になりすぎた時期がありました。そのあとの世代である僕たちが、このひたすらアカウンタビリティを求められるネオリベラルな時代に目指すべきことは、もっと実践的に、様々なかたちで人類学の外(という風に二分するのがそもそもよくないですけど)と関わっていくことだと思います。

だから僕は最初の方のコメントは、いわゆるガクシャが外からどう見えるか、そのひとつのあり方であって、そういう見方に対して人類学者としてはどういうリプライができるのかを考えてみるよい機会ではないかと考えました。先にも書きましたけど、言い方はどうであれ、似たような見方に時として直面するからです。

もちろんそうした意見をすべて受け入れるのは実際できない話ですし、自分のブログへの書き込みだったら自分で冷静になれるか自信がありません。とはいえ、あんまりキツイ返事をするのも、やっぱりちょっと思ってしまったりします(知と権力との結びつきは、我々にとっては嘘っぽいですが、そう見えなかったりもしますしね)。

結局のところこのコメントはazumaさんがいつも考えているだろうこと、いま人類学から何ができるか、という問いに行きつくわけで、それをいかに結果として示していくかという点で、azumaさんへの期待を再び表明したいと思います。

長文失礼しました。

Posted by: / | September 03, 2008 12:56 AM

Keitaさん、
楽しみにしているのは私もそうですよ。あずまさんのされている研究は非常に大変興味深いものがあるので私も随時拝見させていただいています。
「文句があるなら直接本人に。」そうですね。そうかもしれません。でもこういう風にあずまさんがブログを公開してコメントを自由にしても構わない状態を作っているという状況があります。自分の素性を明かさずに世界中の人が見ることが出来、意見を言えるという多分人類史上初めての不思議空間においてです。本人もおそらくそれ相応の覚悟があってされているのだと思います。全ての閲覧者があずまさんの擁護者であるような環境で情報公開してもはたしてそれはあずまさんが求めていることなのでしょうか?違いますよね?
だからあえてあずまさんだけでなくその他のブログ閲覧者を不快にさせることを承知で私なりにあずまさんの研究で気になったことを書いただけです。あずまさんの研究をこういう風に見る人もいるんだということをあえて見せたかったのです。そしてなによりも私の意見に共感を覚える人もいる可能性は否定できないですよね?
楽しいね♪、面白いね♪凄いことやってるんだね♪だけを求めているのならそういう人だけに公開すればいいんです。でも違いますよね?誰がどんな発言をするか全く予想がつかない環境であえて情報公開されているんですよね?
あずまさん含め他の方が感情的になる要素は十分に持った発言です。でもお気づきですか?これほど多様性や価値観の違う人々との交流、そして理解(私の解釈です)を題材に研究をされているあずまさんのブログを読んでいる方達とは思えないほど感情的な、私への批判コメントになってしまっていることを?どちらがあずまさんの研究の本質を理解しているのでしょうか?
3番目の方はまあ冷静でしたが、あずまさんとこの方以外でまともに私のコメントに対して冷静に答えてくれたものがいないことを?(二人だけですが。。)
あと、よく読んでもらえれば分るように、もし自費でされているのならごめんなさいときちんと書いています。

「ネット上のレスし合いほど醜いものはありません。」
そうですね。ならばなおのことkeitaさんからは冷静なコメントがもらえればよかったなと思います。ようは「あなたのコメントは不快である!」としか言ってないから。。それもまるでkeitaさんが多数の意見を代弁しているかのように。そして多数のものがもつ意見のほうが正しいかのように。

あずまさん>
挑発的な発言に対してお答え頂きありがとうございます。私は常日ごろあずまさんの活動を非常に興味深く拝見させて頂いております。分りづらい、伝えにくい、しかし非常に好奇心をかき立てられる学問を非常な努力と意欲で探求されていることは十分に伝わってきますし、尊敬もしております。ただ、だからといって一読者としては先ほども申し上げましたがただ、楽しいね♪、面白いね♪凄いことやってるんだね♪なかよしこよし♪で収まらない気持ちがあったのです。そして人類学や大学における研究などとはまったく縁のない素人でも、無教養ながらも真っ向から(?)その道のプロに意見や批判を自分の素性を明かさずにぶつけることができるネットという環境をフルに利用しているわけです。そのことをご理解頂きたいと思います。
支出の件、ネット上で説明できうる範囲でのご説明ありがとうございます。まあ、納得したかは別としてですが。。

「社会的立場を背負っている以上」この言葉忘れないで頂きたいものです。少しだけじゃなく思いっきり意識して欲しいです。そして私のような見方をする人がいる事も。ね。

あずまさん以外で私へコメントされた方々に対していろいろ返したい事はありますがそれはあえてこれ以上は控えましょう。

私もしばらくあなたの研究発表等を読んで、素人なりの第三者目線で、批判的な立場をくずさず、さらなるつっこみどころを探します。では。

Posted by: ななしのごんべ | September 03, 2008 02:01 AM

3番目の方の再コメントの後になってしまいましたね。

3番目の方、
あなたはとても冷静に私の感情を汲んでくれますね。大人ですね。こう返されてしまうとどうも人間、おとなしくなってしまいます。
人を批判する時も相手を一刀両断できるような鋭さを持ちつつ、かつあなたのような冷静さを持って知的に出来るようになりたいものです。笑。

Posted by: ななしのごんべ | September 03, 2008 02:14 AM

二番目に書いたものです。名前も書かなくて、だから、私はここに書き込むことができて。本当はそんな事を出来るようなものではないいんです。。
でも、ひょんなきっかけで、あずまさんを知り、このブログを知り、気づいたらほぼ毎日読んでいて、私は深く人を研究する彼らを尊敬しています。
皆さんの意見を読ませていただいて、反省しています。不快な思いをさせてすみませんでした。
そして、このあずまさんのブログを汚してしまってすみませんでした。
私はあなたがいろんな事を深く深く考えていることがとても楽しいです。
引き続き研究、指導者として活躍されること祈っています!!
失礼いたしました。

Posted by: | September 06, 2008 03:35 PM

>/さん(HNありでしたね)

人類学者の方でしたか。冷静で客観的なコメントをありがとうございました。

「知と権力」を振りかざす「ガクシャ」…。そういう役割期待があることは重々承知しているのですが、「そうじゃないんだよ!」とアカウンタブルになるのは、結局その期待を再生産する役割演技になってしまうのではとも思います。

だからといって、「そうだなんだ」とも「そうじゃないんだ」とも違ったオルタナティブを提供できていない時点で、僕の「遊び」も結局はシステム内に回収されてしまっていますね。もう少し、ご期待に沿えるようにがんばってみます。

>ななしのごんべさん

再コメントありがとうございました。

僕の活動への関心と厳しいご批判、どちらも嬉しく思います。「社会的立場」をどのように引き受けていくか、上のコメントにも書きましたが、「知と権力」の強固なシステムの中に取り込まれてしまわないような立ち居地を今後提示していくことで、答えていきたいと思います。

今後とも、ご指導ご鞭撻をよろしくお願いします。

>二番目の方

「誰しもに開かれている」というほど公共的ではありませんが、あなたのようなコメントに、少なくとも僕は勇気づけられています。応援ありがとう。今後も、気づいたことがあったら書き込んでくださいね。

コメントありがとうございました。

Posted by: azuma | September 06, 2008 05:01 PM

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