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大学祭前夜、フリマ告知

明日からの大学祭準備で、昨日と今日は休講。雨が降ってしまったけれど、準備で忙しそうな学生たちが慌しく通り過ぎていく。明日とあさっては晴れますように。

ところで、国際協力や援助に対する僕の理論的なスタンスを挙げれば、(a)途上国を「助ける」のではなく途上国から「学ぶ」こと、(b)「貧困」という単一のチャンネルを通じてのみ途上国へとアクセスするのではなく、多面的・多角的で顔の見える長期的な関係性を構築すること、そして(c)「まず何かしてみよう」ではなく「何もしないこと」から始めることである。このことは散々色々な場所で言ってきたので、繰り返さない。

そういう理論的な立場は、今後もいささかも揺るがないけれど、実は今回その立場を実践的には完全に裏切ってしまおうとしている。アイロニーか日和見か、あるいはただの身内びいきか。

フィリピン・イロイロ市近辺で、草の根交流と支援活動を続けるNGO団体「LOOB」(公式サイトはこちら)。中心メンバーは、Johnさんと幸恵さんという日比カップル。この夏、僕は偶然あの人たちに出会って、ワークキャンプ活動に参加させてもらって、数日間の濃密な時間をすごした後、すっかりあの人たちのことが好きになってしまった。NGO活動による国際協力というやり方はまったく僕とは正反対のはずなんだけれど、フィリピンと日本の関わりについて、理論や思想を超えて強く共感する部分があった。活動について細かくは疑問に思ったり、違和感を感じたり、改善すべきだと思う点もあるけれど、まずはあの人たちの実践に敬意を表す意味も込めて、今回小さな活動協力をする約束を交わした。

というわけで、大学祭のフリマで、フェアトレード製品の販売をします。フィリピンのイロイロ市のごみ山で、スカベンジャーたちが拾ってきたジュースパックをリサイクルしたグッズ。ポーチ、ノートフォルダー、財布、バッグ、ペンケース、レターホルダーなどです(詳しくは、こちらのLOOBのサイトをご覧ください)。ゼミ活動の一環として、文化人類学演習のゼミ生たちと一緒に、11月1日(土)と2日(日)の2日間フリマに出店します。お近くの方はのぞきに来て、製品の説明を聞いて、できれば購入してください。買っても買わなくても、少なくともこの世界でトップクラスの豊かな国家の国民として、途上国とどのように関わるべきか一瞬だけでも考えてみてください。過去から現在まで、軍事的にあるいは経済的に完全に不均衡な関係があって、それが当たり前のように継続している状況を引き受けながら、これからお互いが一緒にどんな未来を構想できるのか。ごみ山からここに渡ってきたフェアトレードのグッズ一つ一つには、そんな未来についての小さな希望がこめられているような気がするのです。ああ、書いてて自分で恥ずかしくなってきた。

商品はこんな感じです。お待ちしています。


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Comments

「恥ずかしい」がAzumaさんらしいですね。

国際協力に向けてのAzumaさんの理論的なスタンスには共感します。でも、誰にとって、なのでしょう?僕も大学生のスタディ・ツアー参加者には同じようなことは言うのですが。

ただ、僕ら自身の問題になってくると、話は多少違ってくる気がします。僕は援助の世界から人類学の方に入ってきたので、ごくごく自然にNGOなんかにはかかわってしまうのですが。

いつまでそうだったかはよく分かりませんが、今やNGOは日本も含めて世間にありふれていて、殊「受益者」側ではその社会を構成する一部になりつつあるように思っています。「援助する側」の日本でも参加者は年々増加傾向にあるといいますし、個人的にはこんなことがありました。

一度お連れしたことのある中央区の飲み屋、覚えてますか?資本主義の拠点のような街の、今までそんなことを考えもしなかった人たちが、常連の間でNGOを立ち上げよう、という動きが強くなっています。NGOに関わってきた人間としたら、すごいことだな、と思いました。ぼくが活動を始めたころの、新興宗教にかかわるような「あやしさ」みたいなものが、昨今かなり払拭されてきたように思います。

どう関わるか、それぞれの人の置かれている状況で様々だと思いますが、Azumaさんの「理論的スタンス」にもうひとつ付け加えてほしいのは、「楽しい」と感じられることをやりましょう、と言うことです。たとえば、フィリピンに行った経験を人に語ること、フィリピンで素晴らしい人と会い、それに共感すること、それで、その人が少し幸せになること…僕は人類学者の営みととても似ているような気がするのですが。

Posted by: 荒熊 | October 31, 2008 08:14 PM

こんばんは。
大学祭での販売はいかがでしたか?
「身内びいき」っていうより私が強引に押し付けましたからね。笑
快く引き受けて頂きありがとうございました。
詳しいことは今度じっくりきかせてくださいね。

Azumaさんのスタンス、①と②は同感ですが、③のお考えにはびっくりです。

「まず何もしないこと」から初めて、その次に「何かすること」ということでしょうか?

そもそも「理論的スタンス」という言葉自体が、既に、行動を必要としない傍観的な学者さんの言葉です。理論だけで実践を伴わなければ、それはNGOの分野では「無い」に等しいことです。
ここが学者さんの世界と違うとこなのかなぁ。

Azumaさんは何故かNGO嫌いの雰囲気がありましたよね。そのトラウマ、私が直してあげる笑

今度あったときの議題は、(覚えていますか?宿題→)日本人とフィリピン人の体温差の違い、イスタンバイの社会的位置、そして、今回のトピックに決まり!

Posted by: | November 02, 2008 08:09 PM

>荒熊さん

文化人類学とNGOの両側に身をおく立場から、貴重なコメントありがとうございます。

文化人類学的な教わる、学ぶ、何もしないというスタンスは、もちろん楽しみなしには成立しません。現場では圧倒的に無知で無力な僕が、ただそこにいることによって幼児のように知り学ぶ楽しみ、そしてその情報や経験を日本で伝える喜びは得難いものです。僕が主張したいのは、それが(もしあちら側も楽しんでいたとしても)完全にこちら側の都合で行われているということ、そして、もしそうなら、そこからできる限り、自文化中心主義や(あるかどうか分からない)人類普遍主義を持ち込むことを排除するべきだということです。

そして近年のNGO活動の活性化、たしかに望ましいことであるとは思います。地域コミュニティーをベースにした国際協力や、学生時代に少しでも何かしようと始めてみる国際ボランティア。確かに最近はカルト的なイメージは払拭され、よりアクセスしやすくなった気がします。でも、そんな風に「こちら側」の機会が増大していることは、相変わらず「あちら側」との不均衡な関係を是正するよりも助長しているという気もします。

与える影響を考えてしまうと、少なくとも気軽にではなく真面目に、短期ではなく長期で、というスタンスは重要視されてもいいと思うのですが…。もちろん、NGOの現場でもそんなことは理解されていますね。一番怖いのは、まず何かやってみようと本当に気軽に自分の都合ではじめ影響や被害を与えること、そしてその暴力を後押しする商業主義がNGO業界にも侵食していくことです。

>名無しさん

誰だかすぐに分かりましたよ(笑)。グッズ、4分の3ほど売りました。また追加発注するかもしれません。

③は①「教わる」、②「学ぶ」の必然的な帰結だと思うんですけれど。何もしないで、ただそこにいるだけ。でも、こうやって異なった立場の日本人同士が、フィリピンとのかかわり方について議論していること自体がすでに、「何かしてしまっている」のかもしれませんね。

もちろん研究者としての現場との関わり方についても、居直るのではなく、自分自身より望ましい方向へ進んでいきたいし、現場からもそう理解してもらいたいと考えています。

来月の再会を、楽しみにしています。

Posted by: azuma | November 03, 2008 05:06 PM

なかなか売れたみたいで安心しました!
名無しだったようですいません。
ではまた!

Posted by: ゆきえ | November 04, 2008 12:57 PM

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