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島への卒業旅行

「卒業旅行」という慣行は、いつ頃から始まったのだろうか。Wikipediaの項目をみても、わからなかった。そして、それが卒業する学生自身の旅の呼称であって、ゼミの担当教員がついていく場合には何とよべばいいのか、さらによくわからない。

生月島は、長崎県の北部に位置する小さな島。(2005年合併後の)行政区分では平戸市生月町となる。人口は9000人。たまたま偶然、僕のゼミの4年生ギタリストがその島出身で、ノリと勢いで「行こうか」という話が出て、結局4年全員プラス僕の「卒業旅行」の目的地となってしまった。そんな偶然がなければ、多分一生行かなかった場所ではないだろうか。

宮崎から高速基山までバスで3時間半、そこから1時間半で佐世保まで行って、さらに車で2時間ほど。その間、平戸大橋と生月大橋の2つの橋を渡る。橋がかかるまではフェリーが運航していたそうだ。前日の卒論提出とお祝いの疲れを残した僕たちの往路は、佐世保から生月まで雪のため渋滞で、6時間以上かかってしまった。初日はそれで終わり。

生月のキーワードは、捕鯨と隠れキリシタン。2日目は一日掛けて、捕鯨で栄えた頃の栄光や隠れキリシタン弾圧の足跡を見て回った。お昼は名物(?)アゴだしラーメンを食べた。次の日には、極寒の中、釣りにチャレンジしたけれど、あまりの寒さに1時間ほどでリタイヤ。釣果は雑魚のみ。ちゃんぽんを食べた後、隣の平戸に行って、そこで南蛮貿易やキリスト教布教の史跡観光をして、温泉に入った。最終日は佐世保で名物の佐世保バーガーを食べて帰ってきた。最後は宮崎でもつ鍋とワインのしめ。こうやって書くと、とてもありがちで、あっさりしているような気がする。

滞在中は、ギタリストの実家にお世話になった。息子も入れて7人も一度に泊まりにこられて、さぞかし迷惑で大変だったことだろう。お母さんは毎日アゴ(トビウオ)とかナマコとか鯨とか、その他見たこともないおいしい魚を振舞ってくれて、お父さんは60年代のインドネシア遠洋漁業の話とか70年代の東京でのバーテン修行の話とか聞かせてくれて、笑いが絶えない幸せな時間だった。お父さん、お母さん、親戚の方々、そしてギタリスト、4日間お世話になりました。ありがとうございました。

仲良しの同僚には、「本当についていくの?」と笑われたけれど、やっぱり一緒に行ってよかったと思う。これまでも、調査実習やフィールドワークで学生と一緒に旅をしたことは何度もあるけれど、今回みたいに完全に「指導なし」のモードでいられたのは初めて。だから、これまで知らなかった一面を知り、聞けなかったことを聞くことができた。そして旅の間中、いつまでこの人たちと同じ目線で世界を眺めていられるのだろうかと考えていた。僕の思考や感性がついていけなくなってしまうのが先か、それとも学生たちの成長が、僕を追い越して置いて行ってしまうのが先か。できれば、いつまでもこうしていたい。

次は卒論発表会、そして卒業式。僕自身には、きっともう二度とやってくることはないだろうイベントの追体験はまだまだ続く。あの人たちの、このほとんど奇跡みたいに滑稽で美しい物語に、素敵な第一部のフィナーレが訪れますように。そして、少し寂しいけれど希望を臨みながら、第二部へと続いていきますように。

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生月島の風景1

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生月島の風景2

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生月大魚藍観音

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博物館前の鯨モニュメント

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見た目は普通だが、だしが激ヤバの生月アゴだしラーメン

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生月隠れキリシタンの信仰と殉教の碑、ガスパル様

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寒さに耐えながら釣りをする男2人

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生月のちゃんぽんもうまかった

9

平戸、寺院と教会の見える風景

10

佐世保バーガー、ヒカリ

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僕らが旅行に行くとき、誰かがどこかで亡命を図る。 僕らが笑っているとき、誰かがどこかで泣いている。 僕がコンビニでガーナミルクを買うとき、アラブの商人は人身売買をする。 ここで雨が降っているとき、どこかで太陽が降り注いでいる。 学校や社会に属している僕を含める僕らは、怒濤のごとくオートマティックに過ぎてゆく日々の中で、大切な何かを忘れがちである。 それは今日で人生が終わるとかいった類いの、確率は低いがゼロではない可能性に対する血清的なものかもしれない。重要なのは血清があるかではなく、毒... [Read More]

Tracked on January 29, 2009 05:49 PM

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