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他者のワーク

マニラから移動して数日間、Iloilo市内に滞在して、NGO「LOOB」のワークキャンプに少しだけ参加してきた。Iloiloから合流したゼミ生も加え、計3名で。すごく密度の濃い強烈な時間を過ごしたから、途中ほとんど振り返る時間はなかった。ロハスに移動して、のんびりといつものネットカフェから更新中。

相変わらず、ゴミ山はそこにある。そして、その中や周辺で、人々は生きている。そんなゴミを取り巻くリアルな生活の場に、世界でもかなり裕福な国からやってきた大学生たちが、「夏休み」という機会を利用してアクセスしていく。その過程における経験と学びと理解、そして交流と協力のあり方とは。大きく問題設定すれば、そんな感じだろうか。

ゴミ山の中で行われた、大学生と子供達とのアクティビティ。歌ったり、ゲームをしたり、それから食事を配ったり。ゴミの中を、トラックが走り回りヤギが闊歩するすぐ横で、大学生と子供達は「10人の小さなインディアン」を歌い上げ、体全体でゲームに興じる。奇妙な異種の並置と接触と混交に、ポストモダン的シュールな状況が浮かび上がった。

あるいは、数時間後に自分達が食べることになる豚の喉を突き刺して、止めを刺す。息絶える豚を見て、「笑いながら食べるなんて、私バカだった。本当に、「いただきます」なんですね」と青い顔でつぶやく女子学生。毛を剃って、腹を切り裂き、内臓を取り出すまで、真剣なまなざしで見つめる。そして、写真を撮影する。その姿を、不思議そうに眺めるフィリピン人の子供たち。焼きあがったレチョンが、相変わらずおいしかったのはいうまでもない。

井戸水しかない地域に、水道タンクを設置するのが今回のワークの目的。朝起きて、井戸水で行水をして洗濯をして、水を運ぶ。そんな生活内に埋め込まれた「不便」と「不衛生」を体験しつつ、水道のパイプを通すためにひたすら地面を掘り続ける大学生達。生きるために、本当に必要なものって、何なのだろうか。そんなことを考えるのだろうか。あるいは、関わること、介入すること、支援することの確かな手ごたえを、シャベルに当たる硬い石から感じるのだろうか。

「何を考えていいかすらわかりません」と、ゼミ生は明らかに困惑していた。大学では文化人類学を学び、フィリピンと日本の関係について卒論を書いている。ゴミ山を見て、そこで生産される廃品ジュースパック製品の製作過程を見学した後に、販売される製品を目の前にして。自分で使用するのかフリマで販売するのかは自由だが、いずれにしても購入するためには自腹の支払いが発生する。重要なことだとはわかっている、だがしかし…。500円支払うのか、5000円支払うのか、50000円支払うのか。あるいは、そのような形で関わることは、本当に正しいのだろうか。結果的に、何をしてもしなくても、僕はその「困惑」のプロセスこそがもっとも貴重だと考えている。ちょっと動いたからって、ちょっと考えたからって、他者も世界もシステムも、何一つ思い通りにはならない。「わからなさ」に踏みとどまることの大切さ。

僕にとっては、相変わらずもっとも理解不能な他者としての「国際協力」に関わる人々や現場に向かい合い、多くの場面で違和感を感じながら、しかしときに共感しながら過ごす数日間は、ここ数年重要なものになってきている。自分の理解や知見を常に疑うこと。「常識を疑う」という文化人類学的な「常識」に囚われないように。そんな機会を再度与えてくれたLOOBの友人達へ。ありがとうございました。お世話になりました。また会いましょう。

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ゴミ山での子供とのアクティビティ

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豚の死骸、写真撮影、子供のまなざし

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炎天下でのワーク、お疲れさまでした

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Comments

フレンドシップナイトについての文化人類学的考察を聞きたかったんですが、その時間がなくて残念です 写真をメールしておいたのでぜひこのページに貼って下さいね。

Posted by: ゆきえ | September 25, 2009 09:52 PM

>ゆきえさん

写真ありがとうございました。あれはちょっと、開放的すぎて公開は…。しかし、あのローケーションの井戸で水浴びって、よく考えるとすごいですね。

今、ソウル。もう少しで宮崎です。また会いましょう。

Posted by: azuma | September 30, 2009 04:17 PM

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