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マニラの"No Music, No Life"

マニラ滞在中は、昼はメール対応やノートのまとめでPCにひきこもりがちなので、夜にできるだけ出歩くようにしている。今回のテーマは「生ライブ」めぐり。

今、マニラで同行しているゼミ生の研究テーマは「タガログ音楽」。音楽民族学やカルスタのポピュラー音楽研究などそれなりの研究蓄積はあるものの、アメリカから絶大な影響を受けたフィリピン音楽が、タガログというフィリピンの共通語/国語でありマニラ周辺のローカル言語でもあるという微妙な言葉で歌われるという複雑な状況を考えるのはなかなかに難しい、と思う。

僕自身はといえば、基本的に音楽に対してそれほどマニアックではなく何でも聴くという態度で、これまでのフィリピン生活においても周辺で常に奏でられている音楽をある種の「環境」のようなものだと捉えていた。「音楽を愛するフィリピン人」という大文字が決して間違っていないのと同時に、別にフィリピン人全員がギターを弾けるわけでもなく、むしろその言葉の原義における「ポピュラー」な志向に偏りがちだという観察はそれほどはずしていないだろうと思う。

ただ、夜な夜なライブバーやミュージックバーで、隣に自身コアな若きバンドマンの音楽に注ぐ熱い気持ちとまなざしを感じながら生演奏を聴いていると、「あー、やっぱり何か違うかも」って感じるところがある。それは、ただ単にプレイヤーとリスナーの違いというよりも、音楽という芸術表現が様々な他者や超越や矛盾のあわいに染み込んで/から染み出していって、「不可能なるもの」を現前させてしまうような可能性というか。

「No Music, No Life」という標語が、音楽の持つユニバーサル性を強く帯びた言葉であるのならば、例えばシンプルに黒人音楽がいかに彼/女たちのジレンマに働きかけていたのか、モンゴルの遊牧民達が家畜と一緒に移動しながら口ずさむ歌がどんな解放をもたらしているのか、というローカルな音楽性に向かう「No Music, No Life」のもう一つのあり方。それが、ポスト/コロニアルという宿命じみた歴史を背負うこのフィリピンで、このマニラで、どんな展開を迎えているのかが研究の焦点となるのではないか。彼の研究の進展に期待したい。

今夜はこの後、ショッピングモールのバンド演奏を観にいく予定。

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"Ka Freddie's Bar"というフレディー・アギラが経営するライブバー。本人演奏は聴けなかったけれど、もちろん"ANAK"が演奏された。店内には、ポリドールの社長からの賞状も飾られていた。

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Comments

日記を読む限り、現代アフリカの若者文化と音楽について書かれた本の内容と類似する点がフィリピンにおける社会空間でも起きているのですね。

ただ一つ違うのかなと思うのは、自分が知る限りの内容では、コートジボワールにおいては、最終的に若者たちの主眼は、いかにして社会の中に自分の位置を見つけ出すのかという考えのもとにおかれた手段の一つであるということ。

一方で、フィリピンでは音楽を「日常を曝け出す幻影の空間」や「代償の空間」として捉えているのではないかと感じました。

勉強不足で、そこまで深く議論できるほどの考察ではありませんが、ただ日記を読んでいてそう感じたの呟いてみました。

Mを宜しくお願いします。

Posted by: tomoki | March 19, 2010 04:53 AM

>tomoki

一般に、すごく大雑把に、親族や部族、王国といったコミュニティが強固なアフリカに対し、東南アジアは二者間関係を中心としたネットワーク的な関係性が重視されると「言われて」います。芸術表現の向かう先も、もしかしたら、そんな「社会」のあり方と関わるのかもしれませんね。コメントありがとう。

Mのことは任せてください(笑)。

Posted by: azuma | March 19, 2010 03:57 PM

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